加山又造展に行ってきました

乃木坂の国立新美術館ではじまった、「加山又造」展 (2009/3/2まで)に行ってきました。

個人的には、日本画というと、狩野派、琳派といった江戸時代のものが思い浮かび、昨年も国立美術館で行われた大琳派展はとてもよかったし、一昨年京都で見た若冲展もすごい迫力だなぁと思ったけど、”現代”の日本画というと、なにか権威主義的な印象があり、芸大出の限られた人の世界で製作され評価されてるという勝手な偏見で食わず嫌いでしたが、その分、初めて見た加山又造の世界は、とても新鮮で、2時間ほどかけてじっくりと少し興奮状態で見てきました。

まずメインの展示物の中では、入り口の雪月花でまず色彩の美しさで圧倒され、春秋波濤の画面全体のグラフィカルな構成の面白さと、精密な技巧によるディテールとにそれぞれ目を奪われました。


<雪月花>


<春秋波濤>

あとは、夜桜の黄色い篝火のモチーフが作り出す夜の暗さがとてもやわらかくて印象的でした。


<夜桜>

個人的にとても好きだったのは、30歳前後で描いた動物画のシリーズでした。

ルソーやブリューゲルの影響があると解説されていたけど、最後の展示されていた版画も含めて、僕の好きなパウルクレーに通じる感じがして、日本画という範疇を超えて好きな作品でした。


<月と縞馬>

特に砂漠をバックに描かれた月と縞馬(シマウマ)や犀(サイ)は、旅への強い郷愁を呼び起こされて胸が少しきゅんとなりました。”動物園のキリン”もキリンの体の動きの特徴をとてもよく捕らえて、グラフィカルに再構築されていてとても面白い絵だなぁ、と感心しきりでした。

サブタイトルもない一見地味な回顧展ですが、展示構成も安易に時代順にせず、テーマごとによく工夫されていて、大作の屏風絵だけでなく、コンピュータグラフィックやジュエリーの作品まで、多岐にわたる見ごたえのある展示でした。日本画ということに構えず見に行ってとても楽しめるお勧めの展覧会だと思います。会期もそれほど長くないのでお早めに。

 

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